相続手続き
誰かが亡くなった場合は、亡くなった人の財産(たとえば、土地や建物、預貯金、現金、株、車、借金など)を相続人(家族など)で分けることになります。
その財産を相続人で分ける場合、
「土地・建物をお母さん(相続人の妻)に」
「預貯金と現金を僕(子)が」
「株と車は私(子)が」
「借金はみんなで同じ額だけ負担しよう」
このように、口約束で決めたとしても相続人同士では有効です。
ただ、土地や建物の名義を変える場合や預貯金の払戻などの場合の手続きには、遺産分割協議書が必要になります。
「遺産の分け方は全員で決めて合意できました」ということの証明に遺産分割協議書を作っておくこともとても大切なことです。
遺産分割協議書については別のページで説明しています。
相続手続きの流れ
参考程度に手続きの流れを書いておきます。
亡くなった方によって手続きは変わります。参考程度にご覧ください。
死亡の事実を知った日から7日以内(外国で亡くなった場合は3か月以内)に市役所へ届出をしなければいけません。
届出人:同居の親族(同居の親族がいなければ → その他の同居者)
※(同居の親族・その他の同居者がいない場合)
→ 家主、地主または家屋もしくは土地の管理人
基本的には同居の親族が届出人となります。いない場合は、同居者、管理人(家主・地主・土地・家屋)になります。
届出地:次のいずれかの市区町村役場(市民課:役所によって名称が異なるかもしれませんが住民票や戸籍をもらう窓口と思っていただいても大丈夫です)に提出します。
・ 届出をする人の住所地の市区町村役場
・ 死亡者の本籍地の市区町村役場
・ 死亡者の死亡した地の市区町村役場
届出書類:次のとおりです。
・ 死亡届書
・ 死亡診断書(死体検案書)
死亡診断書・死体検案書がない場合は、死亡を証明する書類が必要です。
証明書がない場合は、個別にご相談ください。
たとえば
・ 犯罪による死亡の場合・・・刑事判決の謄抄本
・ 水難死亡者の場合・・・船長の証明書
・ 中国へ出稼ぎ中の死亡の場合・・・友人の通信
・ 震災死亡者の場合・・・火葬者、死亡実見者等の証明
・ 在外邦人につき日本人会長等の証明書
・ 官公署の死亡証明書等
・ 遺骨携帯者の証明
・ 災害状況の証明書
・ 僧侶等の葬儀執行証明書
・ 死亡現認書
これらに 届出する方の印鑑 が必要です。
通夜・葬式・告別式・初七日法要を行います。
通夜、葬式、告別式を行う際に誰に参列をお願いするのか、そもそも葬式自体を行うのかについてはいろいろな考え方があり、葬式を行わず、いわゆる「直葬」で済ませてしまう場合などもあります。亡くなった方の希望がある場合には、できる限り希望に沿った方法で送り出すことが良いと思います。
公共料金等の名義変更、銀行に対して死亡の届出を行います。
公共料金の名義変更は、各会社に問い合わせをしてください。
銀行への届出は、死亡を証明する書類(名義人の死亡がわかる戸籍謄本または除籍謄本)が必要になります。銀行に死亡の届出を行うと(銀行が口座の名義人が死亡したことを知った時)亡くなった人の名義の口座は引き出しできなくなり、相続人全員の印鑑証明書などを提出しなければ、引
き出すことはできなくなります。遺産分割協議書があれば預貯金の相続人が受け取ることができます。
遺言があるかないかを調査します。
遺言の有無の調査は、まずは被相続人(亡くなった人)の生前利用していた部屋を調べたり、公証役場へ問い合わせをして、公正証書遺言の有無を確認してください。また、名刺などで、専門家(行政書士・弁護士など)の物があった場合は問い合わせることも良いと思います。遺言があった場合で遺言に気付かずに遺産を相続した場合、後に争いになる可能性がありますので、遺言書の有無についてはよく調査される方が良いと思います。
あった場合・・・自筆証書遺言なら、家庭裁判所へ封を開けずに持って行ってください。(検認をしてもらいます)
相続人と財産の調査をします。
戸籍等の取り寄せを行って相続人を調査決めます。
相続人の調査漏れがあった場合には後でトラブルになるので、十分注意してください。
遺産に不動産がある場合は不動産登記簿を取り寄せます。
あとは、銀行預金・株の有無・自動車の有無などの調査、その他、被相続人の名義の物を全て一覧表にまとめてください。相続人(遺された家族)が困らないよう生前にご自身で財産を一覧にしておくと良いと思います。
(※エンディングノートもご利用ください)
相続人の確定と遺産内容の確認をします。
戸籍の取り寄せを行って、関係人が把握できれば、相続人を決めます。
この時に、相続人に間違いがあった場合には、遺産分割後に争いになる可能性があるので、十分確認をするようにしてください。
相続財産の調査を行った時に一覧にした内容に間違いがないか確認してください。
未支給年金・葬祭費の請求、公的年金の死亡届・健康保険証の返却
未支給年金・葬祭費の請求を行います。
未支給年金については、社会保険事務所(年金事務所)へ問い合わせをしてください。
公的制度として葬祭費の支給があります。
これは、亡くなった人が国民健康保険に加入しているとき、保険者である市役所へ申請を行うことで受けられる補助です。
次の資料を付けて申請をしてください。(申請書類については、念のため市役所の健康保険の担当課へお問い合わせください。)
1. 亡くなった方の保険証
2. 葬儀の領収書等(喪主の氏名が確認できるもの)
3. 喪主の印鑑
4. 喪主の振込先の分かるもの
5. 死亡が確認できるもの(死亡診断書の写し等)
生命保険に関しては、保険法上3年間以内に保険金の請求をしなければいけないとなっています(保険法95条)
相続の承認・放棄・限定承認の決定(相続するのかしないのか、相続するけれど遺産の範囲でしか負債は負わないとするのか)
【 財産 】
一般的に財産言えば、どのようなものを思い浮かべますか?
そうですね。家、土地、車・・・というものを思い浮かべますよね。
ですが、相続でいう財産はこういった「プラスの財産」だけではなく「マイナスの財産」も含まれます。ですから、家や土地(プラスの財産)をたくさん持っていても、借金(マイナスの財産)をの方が多くあるときは、結局財産を相続したところで、借金を負ってしまうということになります。こういったことから、相続をするのかしないのか、相続するけど、一部について相続するのか選択をすることができます。
ヒント:
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【 承認 】
亡くなった人の財産を全て相続すること。
【 放棄 】
亡くなった人の財産を全く相続しないこと。
※初めから相続人でなかったことになります。
相続の放棄は、家庭裁判所で行います。
これは、本人の意思をしっかりと確認するためです。
相続人それぞれが単独ですることができます。
【 限定承認 】
マイナスの財産も多くプラスの財産とマイナスの財産のどちらが多くあるのかわからないときに「プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続します」という相続の仕方です。
プラスの財産の方が多い場合は、マイナスの財産を引いた残りのプラスの財産を相続できます。
マイナスの財産の方が多い場合には、プラスの財産を相続できない代わりに、マイナスの財産も残っている分は相続しなくて済むというこです。
※ 結局マイナスの財産が多い場合には、財産として手元に残る物はないということです。その代わり借金も負わずに済みます。
限定承認は、家庭裁判所で相続人全員でしなければいけません。
一人でも限定承認に協力してもらえない相続人がいる場合は、限定承認はできません。
具体例
土地・建物、車、株など総額1,000万円と、借金2,000万円を残して父が亡くなったとしましょう。
この場合、承認・放棄・限定承認をするとどうなるでしょうか。
【 承認した場合 】
1,000万円の土地・建物、車、株などの財産を相続します。
2,000万円の借金を負います。
【 放棄した場合 】
1,000万円の土地・建物、車、株などの財産を相続しません。
2,000万円の借金を負いません。
【 限定承認の場合 】
1,000円の土地・建物、車、株などの財産の範囲内で、借金を負います。
1,000万円の財産を2,000万円の借金に充てます。
残りの1,000万円の借金は債権者に我慢してもらいます。
逆に、土地・建物、車、株の総額が2,000万円で、借金が1,000万円だった場合は、土地・建物、車、株のうち1,000万円分の財産が手元に残ることになります。
相続を放棄・限定承認する場合は家庭裁判所でその旨を申述します。
放棄・限定承認をされる方は、家庭裁判所で、その旨を伝えます。
~~~~~ここまでを3か月で行わなければいけません~~~~~
遺言書があれば、不動産を含む遺産の名義変更をします。
遺言書があって、そのとおりに分ける場合は、その遺言書に沿って名義変更をします。
遺言書の内容とは異なった分け方をしたい場合は、相続人全員の合意が必要です。
決まるまでは名義変更をしないようにしてください。
遺言書がない場合(または、相続人全員で遺言書と違う分け方をする場合は)、遺産分割協議・遺産分割協議書を作ります。
遺産分割協議ができない場合や、なかなかうまくいかない場合は、遺産分割調停といって、家庭裁判所に間に入ってもらって決めることもできます。
遺産分割協議書に沿って不動産を含む財産の名義変更を行います。
車・株などの財産の他、債権や債務の変更も必要です。
相続税の申告・納付を行います。
相続税の計算の後、相続税を納税します。
ただし、相続税がかかる人はそれほど多くはありません。
相続税については、税理士などの専門家または税務署に相談してください。
~~~~~死亡から10か月以内に行わなければいけません~~~~~
*不動産の名義変更・税の申告・公的年金の手続きは行政書士は行うことはできません。
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